血液内科について
血液内科は、血液、骨髄、リンパ組織に関わる疾患の診断と治療を専門に行う診療科です。血液は体内を循環する重要な組織であり、酸素や栄養素の運搬、老廃物の排出、免疫機能の維持、体温調節、出血時の止血機能など、多くの役割を果たしています。そのため、血液や血液を作り出す骨髄の異常が全身の健康に影響を及ぼすことがあります。
特に以下のような疾患や状態に対する診療を日本血液学会 血液専門医が行います。
- 貧血:赤血球やヘモグロビンが不足することで疲労感、息切れ、めまいなどの症状が現れます。こちらにて詳しく解説します
- 白血球や血小板の数の異常:健康診断で発見されることが多いです。白血球や血小板の増加または減少が、感染症、炎症、免疫異常、血液がんなどの兆候であることがあります。こちらやこちらにて詳しく解説します
- 血液のがん:白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫などが含まれます。これらの疾患は、白血球や骨髄の異常によって発症し、免疫機能や血液の正常な働きに影響を与えることがあります。白血病の前癌段階である骨髄異形成症候群は高齢化により増加傾向にあります。
- 出血や凝固異常:血小板の異常や血液凝固因子の欠乏により、出血が止まりにくくなる疾患(血友病など)があります。
以下のような場合、血液内科をご受診下さい
- 健康診断の血液検査で異常を指摘された
(貧血、多血症、白血球減少、白血球増多、血小板減少、血小板増加など) - 慢性的な疲労や倦怠感
- ふらふらしたり息切れしたりする
- 氷を食べたくなり、食べてしまう
- スポーツや学業などの成績が低下してきた
- ぶつけた覚えがないのに、身体に青あざができた
- 風邪がなかなか治らない
- 首や脇、足の付け根などに腫れがみられる
- 原因不明の発熱、体重減少、寝汗がみられる
- 歯肉出血、鼻血などの出血症状がある
- 体重減少、骨や関節の痛み
- など
血液内科の主な対象疾患
- 良性疾患
-
- 鉄欠乏性貧血
- 腎性貧血
- 巨赤芽球性貧血
- 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
- 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)
- 寒冷凝集素症
- 再生不良性貧血
- 発作性夜間血色素尿症(PNH)
- 真性多血症(PV)
- 本態性血小板増加症(ET)
- 血友病
- など
- 悪性疾患
-
- 慢性骨髄性白血病(CML)
- 骨髄異形成症候群(MDS)
- 悪性リンパ腫
- 多発性骨髄腫
- MGUS
- 慢性リンパ性白血病
- 骨髄線維症
- 原発性マクログロブリン血症
- など
血液内科で行う検査について
血液の異常の原因を探るため、以下のような検査を行います。
- 専門的な特殊採血による検査(染色体・遺伝子検査、造血器腫瘍細胞抗原検査等)
- エックス線検査
- 睡眠時無呼吸症候群検査
- CT検査
- PET検査
- 骨髄穿刺
- 骨髄生検
- など
※CT検査やPET検査が必要と判断された場合(リンパ腫の方など)、提携する医療機関にて検査を受けていただきます。
骨髄の検査について
骨髄は骨の中にあるスポンジ状の組織で、血液の成分である赤血球や白血球、血小板を作る場所です。これら血液成分の異常や、がんの転移の有無、抗がん剤治療の効果などを調べる際に、骨髄の検査を行います。検査には骨髄穿刺と骨髄生検があります。どちらも局所麻酔下で行い、検査時間は30分程度です。検査後は30分程度安静にしていただき、止血を確認した後ご帰宅いただけます。
採取した骨髄液や骨髄組織片は、顕微鏡で観察し、骨髄細胞の形がおかしくないかどうかを検査するとともに、骨髄細胞の染色体や遺伝子に異常がないかの検査や、細胞の性質を調べ、白血病や骨髄腫の診断に用いるフローサイトメトリー検査などを行います。すべての結果が出るまでには4週間ほどかかります。
骨髄穿刺
骨髄穿刺は主に腸骨で行います(胸骨で行われる場合もあります)。まず皮膚の一部に局所麻酔を行い、さらに針を進めて骨の表面も十分に麻酔します。次に局所麻酔をした部位から骨髄穿刺針を用いて骨に穴をあけ、骨髄を満たしている骨髄液を吸引します。終了後は骨髄穿刺針を抜いて止血します。
骨髄生検
骨髄生検は基本的に腸骨のみで行われます。骨髄の組織片を採取するため、骨髄細胞の密度など、より詳しい検査ができます。検査は局所麻酔を行った場所に、骨髄穿刺で使う針よりも少し太いものを使用し、組織を採取します。終了後は針を抜いて止血します。
血液内科での治療
当院では、経験豊富な医師が個々の症状や状態に合わせた最適な治療を提案し、安心して受診いただける体制を整えています。化学療法(抗がん剤)や輸血まで可能です。 また骨髄移植後は獲得していた免疫が低下したり失われたりしますが、そのフォローアップのための各種ワクチンの再接種も積極的に行っていますので、詳しくはお問い合わせ下さい。