血小板の数に異常がある場合、血液疾患の可能性があるため、血液内科での精密検査を受けることが非常に重要です。血小板は出血を止める役割を果たすため、数が多すぎたり少なすぎたりすると、健康に重大な影響を及ぼす可能性があります。血小板の数の異常は、以下のような疾患と関連していることがあります。本態性血小板増加症、慢性骨髄性白血病(CML)、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、骨髄異形成症候群(MDS)、再生不良性貧血、抗リン脂質抗体症候群などの病気についてご説明し、受診の重要性をお伝えします。

【血小板が増加する疾患】の例

血小板単独の増加であれば60万程度までは経過観察・採血フォローのみとすることが多いですが、白血球や赤血球など他の血球に異常があれば、より早期に原因検索を行う場合があります。

本態性血小板血症

症状

多くの場合無症状ですが、頭痛、めまい、視覚異常、指先のチアノーゼ(青紫色になる)、血栓症(深部静脈血栓症や脳梗塞)などが発生することがあります。血小板が非常に多いと、逆に出血しやすくなることもあります。

診断方法

血液検査で血小板数の増加を確認し、他の血液疾患を除外するために骨髄穿刺検査や遺伝子検査(JAK2遺伝子変異が約50%にみられます)を行います。

治療

本態性血小板増加症(ET)の治療は、血栓症リスクに基づいて行われます。低リスク患者は、経過観察もしくは低用量アスピリンを投与し、血小板の過剰な凝集を防ぎます。高リスク患者や血栓症の既往がある場合は、ハイドロキシウレアやアグリリン®(アナグレリド)などの薬剤を使用して血小板数を制御します。治療により、血栓や出血のリスクを軽減し、症状の管理を目指します。

慢性骨髄性白血病(CML)

症状

疲労感、発熱、体重減少、脾臓の腫れによる左腹部の違和感などが見られることがあります。血小板数の異常に加え、白血球数の異常も特徴です。

診断方法

血液検査で白血球数の増加が見られ、好酸球、好塩基球が増加することもあります。骨髄穿刺検査や遺伝子検査(フィラデルフィア染色体の有無)で確定診断します。

治療

慢性骨髄性白血病(CML)の治療は、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が中心です。主要なTKIには、イマチニブ、ダサチニブ、タシグナ®(ニロチニブ)、ボシュリフ®(ボスチニブ)、アイクルシグ®(ポナチニブ)、セムブリックス®(アシミニブ)があります。これらの薬剤は、フィラデルフィア染色体による異常なチロシンキナーゼ活性を抑制し、白血病細胞の増殖を制御します。治療は通常経口薬で、患者の生活の質を保ちながら長期管理が可能です。TKIの効果が不十分な場合や耐性が生じた場合には、他のTKIに変更するか、骨髄移植を検討することがあります。治療により、病状のコントロールと長期生存が期待されます。

このほか、手術、脾臓摘出後、感染症、結核、運動、アレルギー、外傷、急性出血、腎不全、ネフローゼ、急性溶血、心筋梗塞、急性膵炎、鉄欠乏性貧血、VitB12欠乏症の治療中、悪性腫瘍、膠原病、炎症性腸疾患、セリアック病、アミロイドーシス、POEMS症候群などでも血小板が増加することがあります。

【血小板が減少する疾患】

血小板が少なくなると出血しやすくなります。正常範囲は血液1マイクロリットルあたり13万~35万個ですが、5万個以下になると出血しやすくなり、2~3万個以下になると皮下出血、紫斑、歯肉出血、鼻出血などが起こります。重症になると消化管出血や脳出血などのリスクもあります。

免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)

症状

鼻血や歯茎からの出血、皮膚に点状出血(紫斑)が出ることが特徴です。月経過多や、外傷後の出血が止まりにくさで気づかれる場合もあります。

診断方法

血液検査で血小板数の減少を確認した上で、他の疾患を除外するために骨髄検査を行います。

治療

成人のITPでは、まずピロリ菌の検査を行い、陽性であれば抗生剤で除菌を行います。これにより、50%以上の患者で血小板数が回復します。ピロリ菌陰性や除菌が効果的でない場合で、血小板が2万以下や出血がある場合には、ステロイド治療が行われます。それでも効果がない場合は、トロンボポエチン受容体作動薬、免疫抑制剤、脾臓摘出などの治療が検討されます。手術や出産時に一時的な血小板増加が必要な際には、ガンマグロブリン大量療法や血小板輸血を行うこともあります。

骨髄異形成症候群(MDS)

症状

貧血症状(息切れ、めまい、顔色不良)、出血しやすい(鼻血や歯茎からの出血、あざができやすい)、感染症にかかりやすいなどがあります。血小板数が低下することが多いですが、時には異常な形態の血小板が増加することもあります。

診断方法

血液検査での異常に加え、骨髄検査で骨髄細胞の形態異常を確認します。

治療

骨髄異形成症候群(MDS)の治療は、病状や患者の状態に応じて異なります。アザシチジンは、異常な細胞の増殖を抑える薬剤で、白血病への進展を遅らせる効果があります。貧血や血球減少には輸血が行われ、重症例では根治を目指して骨髄移植が検討されます。ネスプ(ダルベポエチンアルファ)は、赤血球の産生を促進する薬で、貧血改善に使用されます。レブロジル(ルスパタセプト)は、赤血球成熟促進薬として造血幹細胞から赤血球への分化過程の後期段階における分化を促進し、成熟した赤血球数の増加を誘導します。。これらの治療を組み合わせて、症状の緩和や生活の質の向上を図ります。

再生不良性貧血

症状

疲労感、息切れ、めまい、出血傾向(鼻血や歯茎からの出血、月経過多)などが主な症状です。骨髄の造血機能が低下するため、血小板だけでなく他の血球成分も減少します。

診断方法

血液検査で赤血球、白血球、血小板の全体的な減少を確認し、骨髄検査で骨髄の細胞が著しく減少していることを診断します。

治療

再生不良性貧血の治療には、シクロスポリンやATG(抗ヒト胸腺細胞グロブリン)を用いた免疫抑制療法、蛋白同化ステロイドであるプリモボラン、ロミプレート® (ロミプラスチム)やレボレード®(エルトロンボパグ)などのトロンボポエチン受容体作動薬が選択肢です。若年・重症者には骨髄移植が行われます。また、薬剤への反応が乏しい場合は輸血を行います。

抗リン脂質抗体症候群

症状

血栓症が発生しやすく、深部静脈血栓症や脳梗塞、肺塞栓症などの血管トラブルが見られます。血小板数が低下して出血しやすくなることもあります。

診断方法

血液検査で抗リン脂質抗体を検出し、血栓症の有無や血小板数の変化を調べます。疑われる場合には膠原病内科に紹介する場合があります。

早期受診の重要性

血小板の数の異常は、これらの疾患の初期兆候として現れることが多く、放置すると重篤な症状を引き起こす可能性があります。早期に血液内科を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることが健康を守るために不可欠です。当院の血液内科では、専門医が患者様の状態に応じた診療を行い、最適な治療方針を提供します。

健診で血小板数の異常を指摘された方や、日常的に出血傾向や体調の変化を感じる方は、ぜひ当院にご相談ください。

院長
小松 恒彦
診療科目
一般内科、血液内科、貧血内科、トータルエイジングケア、予防接種・ワクチン、トラベルワクチン、健康診断
TEL
047-407-2427
住所
〒273-0032
千葉県船橋市葛飾町2丁目344-1 CasaBH 1階
最寄駅
「JR総武線・武蔵野線・京葉線、東京メトロ東西線、東葉高速鉄道」西船橋駅南口3分
診療時間
診療時間 日祝
9:00~12:30
14:00~18:00
休診日:木曜・日曜・祝日

KKクリニックグループのご紹介

どうぞお近くのクリニックをご利用ください

KKクリニック市原
住所
〒290-0035 千葉県市原市松ヶ島2-1-14
電話番号
0436-37-1983
診療科目
内科 血液内科