メディカルダイエット
メディカルダイエットとは、医療機関において、医師の管理、サポートのもと、実施するダイエットのことです。医療行為として実施されるダイエットであり、「医療ダイエット」「医療痩身」などとも呼ばれています。
メディカルダイエットで主に対象となるのは、BMIが30以上の方、BMIが27以上で肥満由来の合併症があり、生活習慣の改善では目標体重への減量が達成できなかった方などです。
当院では、GLP-1受容体作動薬「オゼンピック」および「マンジャロ」を用いたメディカルダイエットを実施しています。
オゼンピックについて
GLP-1とは
GLP-1は、食事をすると消化管から分泌されるホルモンで、もともと私たちの身体にあるものです。食事が刺激となって、以下のように働きます。
- ①インスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌を促します。
- ②グルカゴンという血糖値を上昇させるホルモンを抑えます。
- ③胃や消化管の動きを遅くしゆっくりと消化させます。
- ④脳に働きかけ食欲を抑えます。
GLP-1受容体作動薬について
GLP-1受容体作動薬は、体内のホルモンであるGLP-1の分泌を誘導し、その働きによってインスリンなどのホルモンに作用して血糖値の上昇を抑えるものです。また脳の満腹中枢に働きかけることで食欲を抑える効果もあります。また胃の働きが抑制され消化のスピードが緩やかになることでも空腹感が軽減され、体脂肪が付きにくくなるという作用も期待できます。
以下のような場合は、オゼンピックによる治療が受けられません
- 20歳未満の方。
- 妊娠やその可能性がある方。授乳中の方。
- ほかの抗糖尿病薬の投与を受けている方。
- 重度の胃腸障害がある方。
- 膵炎、腸閉塞などの既往がある方。
- 激しい運動やアルコール過飲、栄養不良など低血糖をおこす恐れがある方。
- その他、重篤な疾患の治療中など、医師が不適切と判断した場合。
以下のような副作用が現れる場合があります
- 吐き気、嘔吐、食用不振、下痢、腹部不快感、腹痛などの消化器症状
- 倦怠感
- 自己注射による内出血や痛み
これらの症状は通常一時的なもので、徐々に治まっていきますが、症状が強い場合はご相談下さい。
注意しなければならない副作用としては以下のようなものがあります。
- 低血糖
- 急性膵炎
- 甲状腺機能異常
- 腸閉塞
- など
オゼンピックの自己注射方法について
詳しいオゼンピックの投与方法については、下記の4分程度のノボ・ノルディスク社の動画もご参照下さい(解説音が出ますのでご注意下さい)。
投与のスケジュールについて
- ①0.25mgで週1回 4週間投与で開始します。
- ②その後0.5mgで週1回 4週間投与します。
- ③0.5mgで効果が不十分の場合は1mgの週1回投与に変更します。
価格
初回のみ 【ダイエット応援特別価格】 |
オゼンピック2mg | 22,000円(税込) /1本 |
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2回目以降 | オゼンピック2mg | 30,000円(税込) /1本 |
※いずれも針・消毒綿を含みます。
マンジャロ
GIP・GLP-1とも元々私達の体にあるホルモンで、食事摂取が刺激となって小腸や大腸から分泌されます。
GLP-1は①インスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌を促し②グルカゴンという血糖値を上昇させるホルモンを抑え③胃や消化管の動きを遅くしゆっくりと消化させ④脳に働きかけ食欲を抑えます。
GIPは①インスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌を促し②グルカゴンの分泌を促進させます。グルカゴンは肝臓や脂肪細胞で脂肪分解や熱産生を促してエネルギー消費を上げる(体重を減少させる)方向に働き、食欲抑制作用も有しています。
GIP/GLP-1受容体作動薬とは?
GIP/GLP-1受容体作動薬は体の外からGIP/GLP-1を補うことで、食欲を抑え、食べ過ぎの防止につながります。胃のはたらきを抑制し消化スピードがなだらかになることで、空腹感が減少し、体脂肪がつきにくくなる作用もあります。GIPを加えることによってグルカゴンによる脂肪分解作用や体重減少作用も得ることができます。
治療が受けられないケースは?
- 20歳未満の方。
- BMI20未満の方
- 妊娠やその可能性がある方。授乳中の方。
- 他の抗糖尿病薬の投与を受けている方。
- 重度の胃腸障害の方。
- 膵炎、腸閉塞などの既往がある方。
- 激しい運動やアルコール過飲、栄養不良など低血糖をおこす恐れがある場合。
- その他、重病治療中など、医師が不適切と判断した場合。
副作用は?
嘔気、食欲不振、便秘、下痢、倦怠感、自己注射による内出血、痛みなど。
これらは徐々に治まることが多いですが、副作用が強い場合はご相談ください。
重大な副作用として低血糖、膵炎、腸閉塞などがあります。
マンジャロの体重減少効果に関するエビデンス
マンジャロの体重減少効果のエビデンスを2つご紹介します。
1)SURMOUNT-1試験(国際第III相試験)
米国イェール大学を中心に2500人の肥満患者(平均体重105kg)を集めて行われた大規模臨床試験です。参加者を食事・運動療法+プラセボ群と、マンジャロ5mg/10mg/15mg各投与群に分け、72週間(約1年半)経過を比較しています。その結果、プラセボ群の体重は平均-3.1%でしたが、 マンジャロ5mg群で-15.0%、10mg群で-19.5%、15mg群では-20.9%の体重減少が認められました。約9割の方が5%以上の体重減少を達成しています。
このグラフを見ると72週まで概ね体重は減り続けますが、最初の半年(24週)の体重減少が大きいことがわかります。マンジャロ5mgで約11%、10mgで約15%、15mgで約18%程度です。
2)SURMOUNT-J試験(国内第III相試験)
日本人の肥満症患者225人を対象に、プラセボ群と、マンジャロ10mg/15mg投与群に分け、72週間(約1年半)経過を比較しています。その結果、プラセボ群の体重は平均-1.7%でしたが、マンジャロ10mg群で-17.8%、15mg群では-22.7%の体重減少が認められました。約9割の方が5%以上の体重減少を達成しています。
睡眠時無呼吸症候群の改善を示した大規模臨床試験も出ています(N Engl J Med. 2024;391(13):1193. )。マンジャロ10mg/15mgを52週投与することで、CPAP治療を受けていない参加者(平均AHI51.5)の AHIは-25.3回/時(プラセボはは-5.3回)、CPAP治療を受けている参加者(平均AHI49.5)のAHIは-29.3回/時(プラセボはは-5.5回)減少しました。
体重減少に伴い、血糖値やコレステロール、中性脂肪、脂肪肝の改善、血圧低下、変形性膝関節症に伴う膝の痛みの軽減、など様々な肥満に伴う健康リスクの軽減が期待・示唆されています。
オゼンピックとマンジャロの体重減少効果比較
以下の表は薬剤別の体重減少率の比較です。体重減少効果は、マンジャロの方がオゼンピックと比べ優れている一方、オゼンピックは心血管イベント(心筋梗塞や狭心症、脳梗塞など)を減らすデータが確立しています。
体重減少効果を優先したい方はマンジャロ、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞等の既往がある方にはオゼンピックが第一選択となります。
マンジャロの投与方法
マンジャロの投与方法は下記の5分程度のイーライリリー社の動画もご覧ください(解説音が出ますのでご注意ください)。
マンジャロの投与スケジュール
- ①2.5mgで週1回4週間投与で開始します。
- ②5mgで週1回4週間投与します。
マンジャロの価格
マンジャロ2.5mg 4本(1ヶ月分) |
22,000円 |
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マンジャロ5mg 4本(1ヶ月分) |
35,000円 |