多発性骨髄腫について

多発性骨髄腫とは、血液細胞のひとつで、本来は体内に侵入した病原体を倒すための抗体をつくる働きを持つ免疫細胞である形質細胞が、がん化した疾患です。多発性骨髄腫の患者様では、異常な形質細胞から腫瘍性の抗体(Mタンパクと呼ばれます)が大量に、無秩序につくられていきます。これが様々な障害を引き起こし、原因不明の腰痛や貧血、腎機能障害の原因が多発性骨髄腫だったという場合もあります。

血液検査をすると、「IgG」、「IgA」、「IgM」などの値が非常に高くなっていたり、逆に腫瘍によって正常な抗体が作れなくなってしまって「IgG」、「IgA」、「IgM」の値が低くなっていたりします。また、抗体(免疫タンパク質)の増減に応じて、「総蛋白」の値も顕著に高くなったり、低くなったりします。

イメージ:形質細胞腫瘍(多発性骨髄腫を含む)
画像引用)がん情報サイト PDQ®最新がん情報 
形質細胞腫瘍(多発性骨髄腫を含む)の治療(PDQ®)

高齢化に伴って患者様は増加傾向にあります。

下のグラフは、国立がんセンターより発表されている多発性骨髄腫の罹患数(りかんすう=新規患者数)・死亡数の年次推移です。特に罹患数のオレンジ色のグラフが右肩上がりなのが見て取れます。発症率は10万人あたり5~6人と言われ、年間6千人以上が新規に発症しています。

表:部位別死亡数(全国)罹患数(全国)年次推移
画像引用)国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」:多発性骨髄腫

多発性骨髄腫の症状

多発性骨髄腫は、まだまだ認知度の低い疾患でですが、様々な症状の裏側に、多発性骨髄腫が潜んでいる場合もあります。以下のような症状があり、原因がよくわからない場合は、多発性骨髄腫の可能性もありますので、一度ご受診下さい。

  • 食欲不振、口渇、吐き気、嘔吐、認知症様症状(高カルシウムの症状)がある
  • 全身倦怠感や体重減少がみられる
  • 貧血や腎機能障害。その症状としてのむくみや息切れがある
  • 腰痛、骨折、背が縮んだ、骨粗鬆症と診断された
  • 採血で総タンパク質が高い/低いと診断された

こうした症状は、異常な免疫タンパク質が過剰に作られることにより、腎臓が目詰まりを起こしてダメージを受けることなどによって現れます。発見が遅れると腎臓透析になってしまうこともあります。また異常な形質細胞が骨の中で増殖することにより、腰痛や病的骨折も引き起こされます。骨粗鬆症として治療を受けている患者様の中にも、多発性骨髄腫がみられる場合もあります。

多発性骨髄腫の診断

多発性骨髄腫の診断は血液検査や尿検査、骨髄検査などによって行われます。血液検査では、貧血の程度、カルシウム値、腎機能、血中のタンパクや抗体を調べます。また尿検査では尿中に異常なタンパクがないかどうかを確認します。そして骨髄検査では遺伝子・染色体検査などを行い、治療につなげていきます。当院では多発性骨髄腫の検査から治療まで、トータルに行うことが可能になっています。

多発性骨髄腫の治療

以前の標準療法は、メルファラン+プレドニン(MP)療法と呼ばれる化学療法(抗がん剤治療)でしたが、平均余命が3年という非常に予後の悪い病気でした。しかしこの10年で、多発性骨髄腫の治療法は大きく進歩し、抗腫瘍効果のあるプロテアソーム阻害剤や免疫調節薬など新規薬剤が開発され、治療成績は大きく改善しています。

多くの新薬の登場により、治療の選択肢は増えましたが、それぞれの薬剤により、また患者様により、効果の度合いや副作用の現れ方が異なるため、患者様それぞれの生活や基礎疾患を見極め、オーダーメイドの治療計画を立てることが非常に重要になっています。

たとえばプロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブという薬剤では、手先や足先にしびれを起こす末梢神経障害を現すことがあるため、手先を使う仕事についている方には注意が必要です。また免疫調整薬であるレブラミドという薬剤は、内服薬であるため患者様の負担は少なくなっていますが、皮膚障害や血栓症といった副作用に注意する必要があります。

当院では、患者様一人ひとりの生活や背景を十分に考慮した上で、最善と思われる治療を行っていきます。

院長
小松 恒彦
診療科目
一般内科、血液内科、貧血内科、トータルエイジングケア、予防接種・ワクチン、トラベルワクチン、健康診断
TEL
047-407-2427
住所
〒273-0032
千葉県船橋市葛飾町2丁目344-1 CasaBH 1階
最寄駅
「JR総武線・武蔵野線・京葉線、東京メトロ東西線、東葉高速鉄道」西船橋駅南口3分
診療時間
診療時間 日祝
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14:00~18:00
休診日:木曜・日曜・祝日

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診療科目
内科 血液内科