リンパ節腫大が見られる場合、血液内科での精密検査を受けることが重要です。リンパ節の腫れにはさまざまな原因が考えられ、反応性リンパ節腫大、菊池病、悪性リンパ腫(インドレントリンパ腫、アグレッシブリンパ腫)などの疾患が含まれます。これらの病気について正しい診断を受け、適切な治療を開始することで、健康を守ることができます。以下に、各疾患の特徴や検査の概要を説明し、血液内科受診の重要性をお伝えします。
反応性リンパ節腫大
特徴
感染症や炎症に対する体の防御反応としてリンパ節が腫れることがあります。風邪やインフルエンザ、扁桃炎などが原因で起こり、腫れたリンパ節に痛みを伴うことが多く、一時的で消退することが一般的です。
伝染性単核球症
伝染性単核球症は、エプスタイン・バーウイルス(EBV)やサイトメガロウイルス(CMV)の感染によって引き起こされるウイルス性疾患です。主に若年者に多く、発熱、咽頭痛、後頚部リンパ節腫大が特徴的な症状です。倦怠感や肝臓・脾臓の腫れを伴うこともあります。ウイルスは唾液を介して感染し、「キス病」とも呼ばれることがあります。血液検査では異常リンパ球(異型リンパ球)の増加が見られます。特別な治療は必要なく、休養や対症療法で自然に回復することを待ちますが、時に1ヶ月程度発熱が続くこともあります。
菊池病(亜急性壊死性リンパ節炎)
特徴
首のリンパ節が腫れ、発熱や全身の倦怠感を伴うことがあります。若い女性に多く見られ、腫れたリンパ節は痛みを伴うことが一般的です。通常、数週間から数か月で自然に症状が軽減しますが、長引く場合にはステロイドを投与します。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫はリンパ系のがんであり、進行の速度により「インドレント(低悪性度)」と「アグレッシブ(中悪性度)」「高度アグレッシブ(高悪性度)」の3つに分類されます。
インドレントリンパ腫(低悪性度)
進行がゆっくりで、年単位で大きさが変わらないこともあります。長期間症状が出ないこともありますが、体重減少、夜間の発汗などが見られることがあります。稀にアグレッシブリンパ腫に形質転換することがあります。
アグレッシブリンパ腫(中悪性度)
月単位で進行し、リンパ節の急激な腫れ、発熱、体重減少、夜間の激しい発汗(B症状)などが症状として現れます。早急な治療が必要です。
高度アグレッシブリンパ腫(高悪性度)
さらに進行が早く、週単位で増悪します、バーキットリンパ腫/白血病、急速進行性NK細胞白血病などが代表例です。緊急の治療が必要です。
診断方法
いずれの疾患においても、以下の方法で診断が行われます。
1. 採血
炎症の程度や血球数、LDHや可溶性IL2レセプターなどの値を確認します。
2.リンパ節生検
腫れたリンパ節から組織を採取して顕微鏡で観察し、炎症やがん細胞の有無、その他の異常を調べます。これは確定診断に必要な検査です。
上記が代表的なリンパ節腫大の原因ですが、この他色々な原因でリンパ節が腫れることがあります。麻疹、風疹、ムンプス、HIV、トキソプラズマ、バルトネラ(猫ひっかき病)、結核、梅毒、SLE、皮膚筋炎、RA、サルコイドーシス、薬剤性(フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール等)、ミクリッツ、キャッスルマン病、甲状腺機能亢進症(亜急性甲状腺炎を含む)、Addison病、Gaucher病、Niemann-Pick病などです。
早期受診の重要性
リンパ節腫大は、単なる反応性の腫れであることも多いですが、悪性リンパ腫のような重篤な疾患が隠れている可能性もあります。早期に血液内科で診断を受け、適切な治療を開始することで、病気の進行を防ぎ、健康を守ることができます。
当院の血液内科では、専門医が最新の診断技術を用いて患者様に最適な治療を提供します。リンパ節の腫れや体調の変化が気になる方は、ぜひお早めにご相談ください。