高血圧とは、診察室で測定した血圧が「収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上」、家庭で測定した血圧が「収縮期血圧135mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上」の状態を指します。家庭血圧の基準は診察室よりも5mmHg低く設定されています。一度の測定で高血圧と診断するのではなく、繰り返し測定しても高い数値が続く場合に高血圧と診断されます。
ご家庭で高血圧を確認するためには、正しい方法で血圧を測定することが重要です。具体的には以下のようなことに気を付けて測定するようにします。
- 上腕式血圧計を使用する
- 静かで暖かい部屋で測定する
- 起床後1時間以内の排尿後で朝食前に測定する
- 背もたれ付きの椅子に足を組まずに座り、1~2分安静にしてから測定する
- 2回測定して平均値を記録する
- 測定前の喫煙、飲酒、カフェイン摂取、運動、入浴などは血圧変動の要因になるため避ける
高血圧の原因には、遺伝的要因に加えて食生活(特に塩分過多)、喫煙やアルコール、加齢、肥満、運動不足、精神的ストレスなどの環境要因が重なることで発症すると考えられています。また睡眠時無呼吸症候群や、原発性アルドステロン症や褐色細胞腫などによるホルモン異常も原因となることがありますので、高血圧と診断された際や薬を飲んでも血圧がなかなか下がらない場合は、こうした病気を疑って、検査することをお勧めします。
高血圧自体には明確な症状がないことが多いのですが、長期間放置すると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞、脳卒中、腎不全などの深刻な合併症を引き起こすリスクがありますので、早期の内に治療開始することが重要です。
高血圧の治療においても生活習慣の改善が重要で、具体的には以下のようなことを心がけるようにしましょう。
- 体重管理(BMI25未満)を行う
- 1日6g未満に減塩する
- 適切な飲酒量(ビール500ml、日本酒1合、ワイン2杯までなど)に抑える
- 禁煙する
- 運動習慣(1日30分、週3回以上)を付ける
- など
生活習慣の改善だけで血圧が正常になることが望ましいのですが、収縮期血圧が160mmHg以上または拡張期血圧が100mmHg以上の「II度高血圧」と呼ばれる状態の場合は、早期に薬物療法を開始することが推奨され、並行して生活習慣の改善を行うことが大切です。
血圧の薬は必ずしも一生飲み続けなければならないというわけではありません。加齢や遺伝のであれば難しい部分もありますが、塩分過多や肥満が原因であれば、生活習慣の改善によって薬を減らしたり、中止したりすることも可能です。しかし、薬を避けたいがために高血圧を放置するのは健康にとっては逆に危険です。高血圧は脳卒中や心筋梗塞の主な原因であり、腎臓にも負担をかけ透析となるリスクもあるため、適切に管理することが健康長寿につながります。