糖尿病とは、血液中のブドウ糖が細胞にうまく取り込まれず、エネルギーとして十分に利用されないため、ブドウ糖が慢性的に過剰な状態にある疾患です。糖尿病を引き起こす原因は主に「インスリン分泌の不足」と「インスリン抵抗性」のふたつです。インスリンはすい臓から分泌されるホルモンで、ブドウ糖を血液中から細胞に取り込む際に重要な役割を果たすものです。
インスリン分泌の不足は、すい臓が弱ってしまい、インスリンというホルモンを十分に分泌できていない状態です。またインスリン抵抗性とは、インスリンが分泌されているが、効き目が悪い状態のことで、この主な原因は肥満であり、内臓脂肪から放出されるアディポカインという物質がインスリンの効果を弱めるとされています。こうしたインスリンの分泌状態や抵抗性は、空腹時のインスリン濃度を採血で調べることで診断できます。
初期の糖尿病はほとんど症状がありません。しかし、長期にわたり高血糖が続くと、全身の血管に様々な問題が生じて合併症を起こし、心筋梗塞や脳梗塞、人工透析や失明、足の切断など深刻な事態を引き起こすことがあるため注意が必要です。また、がんのリスクも上がるとされるため、当院では必要ながんのスクリーニング検査もおすすめしています。
糖尿病の治療に関しては、まず生活習慣の改善が重要になります。主に食生活の改善と運動療法が基本で、これだけでも血糖値が正常に戻る患者様もいます。また、ほかの動脈硬化の原因となる喫煙や高血圧、コレステロールなどの脂質異常についても管理が重要となります。こうしたし生活習慣の改善だけでは血糖値がコントロールできない場合や、糖尿病が進行して合併症の危険がある場合は、薬物療法が必要になります。
薬物療法としては、内服薬やインスリン療法があります。糖尿病薬は効果的なものが様々に開発されており、心筋梗塞や脳卒中を減らす効果が期待できる薬、心臓や腎臓などに合併症がある方に対応した薬、体重を減らす効果が期待できる薬などがあります。ただし、こうした薬は効果が高い反面、低血糖を引き起こしやすいため、注意が必要です。当院では、患者一人ひとりの年齢や合併症を考慮して適切な薬剤の選択と治療を行っています。
当院で行っているのはGLP-1製剤自己注射までで、インスリンへは対応しておりません。インスリンの使用が必要な方は糖尿病専門内科を受診ください。